昭和の時代が終わりを告げる頃、死亡保障市場の拡大が鈍化するとともに、金利の低下から予定利率の引き下げを余儀なくされる状況となりました。
貯蓄性商品の魅力も低下し、生命保険業界は厳しい時代に突入することになりました。
そこで、保険料負担を軽減するために4つの制度が開発されました。
特約更新制度
定期付終身保険などにおいて、従来からの定期保険特約の保険期間を主契約の保険料払込期間と同一したものに加え、当初の定期保険特約の保険期間を10年・15年などの短期に設定(更新型)への販売の中心をシフト。
- 短期に設定した定期保険特約により加入当初の保険料支払いを
安くすることが可。
- 定期保険特約の保険期間満了時には、自動更新制度により健康状態に
かかわらず保障を継続可。
- 入院保障特約などの疾病関係特約についても、更新型を取り扱うことにより、さらに保険料を割安にすることが可に。
頭金制度
頭金制度は、契約時に余裕資金などを一時払保険料として契約の一部に充当。
平準払部分の保険料負担を小さくする制度。終身保険などの主契約に充当する方法に加え、定期保険特約部分に充当する方法も開発。
更新型の定期保険特約の保険料を充当した場合の保険料軽減効果は大。主契約と定期保険特約の両方に充当することも可能。
ボーナス払併用制度
給与所得者を中心に、住宅・自動車の購入などで、ボーナス時の支払を多くし、月々の支払負担を軽減する制度が普及しているが、生命保険においても、ボーナス払併用制度が普及し、職域での販売を中心に活用。
仕組みとしては、6ヶ月ごとに保険料を一括払していくボーナス払契約と月払契約の組み合わせを1つの契約とする方式。
修正保険料方式(ステップ払込方式)
収入は年齢とともに上昇することに着目し、期間の経過すなわち収入の増加にあわせて支払保険料が増加する形としたのが修正保険料方式(ステップ払込方式)。
保険金額を確保しつつ、一定期間(ステップ期間)経過後、あるいは一定期間経過ごとに一定割合で保険料が上がる仕組みで、これにより契約当初の保険料を安くすることが可能に。
生命保険は長期に渡る契約なので、加入後もライフステージに応じて変更ができるよう、加入後の自在性の向上に努めましたが、変更=契約者にとって有利になるとは限らず、十分な注意が必要です。
また、契約している生命保険の保障内容を変更するために4つの制度が開発されました。
転換制度(コンバージョン)
既契約の責任準備金や積立配当金などを新たな契約の責任準備金に充当することにより、少ない保険料負担で最新の保険に加入できるようにしました。
昭和63年に転換価格を転換後契約の主契約部分のみでなく、主契約部分と定期保険特約部分の両方に、転換以外の部分と同じ比率で充当する比例転換方式が定期付終身保険について実施され、更新タイプの定期保険特約とあわせて活用することにより、大きな保険料低減効果を発揮することとなりました。
このため、比例転換方式は、たちまち多くの会社に普及し、さらに転換価格を全て定期保険特約へ充当する方式を導入した会社もあります。
これによって、「全期型」の定期付終身保険は、「更新型」の定期付終身保険に塗り替えられていったのです。
「更新型」の定期付終身保険は、「全期型」の定期付終身保険に比べて、加入時においては割安に大きな保障を得ることができますが、10年経ったときの保険料は、1.5倍〜2倍の金額となります。
「更新型」が発売された当初は、見積書に将来の予定保険料が完全に記載されていなかったため、10年後になって転換しなければよかったと後悔する契約者が後を絶ちませんでした。
中途増額制度、特約中途付加制度
すでに加入している契約の保険期間中に保険金額を増額する制度であり、増額部分の保険金に対応して、保険料も増額されます。
定期保険特約更新時の内容変更制度
定期付終身保険において、更新型の定期保険特約の取扱が一般的になってきたことに合わせて、更新時に保険金の増額・減額を取り扱ったり、定期保険特約から他の保険種類に無選択で変更できるという制度も実施されました。
移行制度
終身保険の保険料払込期間満了後あるいは個人年金の年金開始時に、責任準備金や積立配当金などを活用して、死亡保障から年金受け取りへ、終身年金から確定年金へなど、異なった保障内容に変更できる制度として開発されました。
保障内容変更制度ともいい、契約自体はあくまでも当初の契約が継続する点と、変更は保険料払込期間満了後以降に限られる点が、転換制度とは異なる点です。
2005.8.28記事 2007.7更新 |