生命保険には、「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つのタイプがあります。一般的に、「定期保険」は「逓減定期保険」と「収入保障保険」の2つの保険種類がありますが、実は主に法人が利用する「逓増定期保険」もあります。
法人保険を選ぶためには、「逓増定期保険」がどんな保険であるかを知ることが大切です。このページでは、逓増定期保険のしくみと選ぶポイントについて説明します。
逓増定期保険は「定期保険」の一種
一定期間に亡くなったとき、一時金で死亡保険金が支払われる保険です。契約時から保険期間の満了まで保険料は一定ですが、死亡保険金の額は、満期に近づくにつれて多くなります。
死亡保険金額が保険期間の経過に伴って5倍までの範囲で増加し、その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるものをいいます。死亡保険金額が徐々に増えていくため、通常の定期保険よりその分保険料が安く設定されています。
事業の発展とともに、保障を増やしたい、退職金対策を短期間で用意したい、その上、支払い保険料の税務処理にある節税効果を活用したいという方が加入するケースが多く、法人が利用することが一般的です。
払込期間は、「前期期間」と「後期期間」
払込期間は、逓増率のない「前期期間」と逓増率のある「後期期間」の2つに分かれています。同じ年齢時に、同じ保険金額に加入するなら、「前期期間」が短いと保険料が高くなり、保障の形が大きくなります。
イメージ図で表すと、以下のようになります。
保険会社によって、主契約として加入できる場合と、特約としてのみ契約できる場合があります。また、逓増の期間が異なったり、逓増の率も様々な%で設定していますので、どのような目的で、いつの時期に資金が必要であるかを十分に検討して加入することが重要です。
逓増定期保険は平成20年から、主に「2分の1損金」商品へ
逓増定期保険は全額損金算入可能商品として活用されていましたが、平成19(2007)年3月に、国税庁からの逓増定期保険の税務処理見直し発言により、各保険会社(一部の保険会社を除く)が、逓増定期保険の販売を自粛しました。平成20(2008)年2月28日の通達により、全額損金の範囲が大きく縮小され、「2分の1損金」の商品が多くなりました。
逓増定期保険の保険料は2つの要件により処理が異なります。
- 保険期間満了時の被保険者の年齢
- 被保険者の契約時の年齢+保険期間×2
改正前と改正後の保険料の経理処理は、以下のようになります。
このように、平成20(2008)年2月28日以降の契約から「全額損金」より「2分の1損金」商品が多くなりましたが、「長期定期保険」と並ぶ節税効果があり、かつ返戻率が高い解約返戻金がある保険です。
保険金額が逓増していくので長期定期保険より保険料が高額になるため、その分損金になる金額も大きくなることが特徴です。長期定期保険より短期間で節税効果を出すことができます。
また、短期間での退職金対策や保険料の経理処理による節税効果だけでなく、返戻率が高い解約返戻金や契約者貸付を活用することもできます。
たとえば、ずっと黒字だった法人が、不況や災害によって急に資金繰りが悪化したとき、契約者貸付で、緊急に資金調達することができます。また、一部または全部解約することにより解約返戻金を使うことができるのです。
税効果を加味した実質解約返戻率のピークは、「長期定期保険」よりも早い年数でやってきて、かつピーク期間が短いことが特徴です。また、保険金額が逓増していくので保険料が高額になります。その分解約返戻金の額も大きくなるので、長期定期保険より短時間で退職金対策をすることができます。
法人で節税効果を活用したい、退職金対策を短期間で用意したい社長さまには、お勧めの保険です。