生命保険がむずかしいと感じるのであれば、生命保険特有の5つの基礎用語を理解していないだけかも知れません。生命保険をわかりにくくさせている要因は、3人の登場人物と、2つのお金です。
預貯金は、あなただけで完結しますが、生命保険は、「契約者」「被保険者」「受取人」と3人が登場します。また、受け取るお金にも「保険金」「給付金」の2つがあります。
これら5つの基礎用語を理解すれば、生命保険が苦手なあなたでも身近に感じることができるようになります。
何も知らない状態で保険販売員のアドバイスを聞くと、ほとんどの場合、売り手だけに都合のよい内容を提案されます。「あなたに最適な内容ではなく、保険販売員だけが儲かる提案をされる」ということです。
最適な保険選びには、生命保険についてきちんと学ぶことが重要です。その第一歩が、生命保険の基礎用語を理解することなのです。
さっそく、生命保険特有の5つの基礎用語をおさえておきましょう。
契約者とは、その保険に関するすべての権限がある人
契約者とは、生命保険会社と保険契約を結ぶ人のことをいいます。保険料を支払う義務があります。
契約者は保険加入中において、氏名や住所に変更が生じたとき、保険料の払い込みが困難になったときの契約内容の変更など、その保険に関するすべての権限があります。
なお、契約者は後から変更することができます。
被保険者とは、保障の対象となっている人
被保険者とは、その人の生死・ケガ・病気など、保障の対象となっている人のことをいいます。
契約者と被保険者は別々に設定することもできます。たとえば、夫が「契約者」で、妻が「被保険者」が可能です。この場合、被保険者は妻なので、保障の対象は妻ということになります。
保険料は被保険者の性別や契約時の年齢、健康状態などによって決まるため、被保険者を後から変更することはできません。
受取人は、保険金や給付金を受け取る人
受取人とは、支払事由が発生したとき、保険会社に請求して、保険金や給付金などを受け取る人のことをいいます。
支払事由とは、保険会社が保険金や給付金を支払うことになる理由のことをいいます。例えば、死亡保険金であれば、被保険者が亡くなられたこと、入院給付金であれば、被保険者が入院して保険会社が支払うべき状態にあることです。
受取人は保険契約者が指定します。また、 保険金の受取人は、原則、被保険者本人以外の2親等以内の血族を指定します。
一方、給付金の受取人は、被保険者本人がなることが多いです。 (保険金、給付金については、このあとに説明します)
2親等以内の血族とは、1親等と2親等の人で、血がつながっている人を指します。
1親等とは、本人および配偶者と1世代をへだてた関係にある者で、本人の父母と子および子の配偶者または本人の配偶者の父母のことです。
2親等とは、本人および配偶者から2世代をへだてた関係にある親族で、祖父母、兄弟姉妹、孫などです。 保険金の受取人の場合、血がつながっている血族の指定を求められるため、実父母、実祖父母、実の兄弟、実子、実孫が対象になります。
受取人の範囲を図に表すと、以下のようになります。
保険金とは、死亡したときのお金
保険金とは、被保険者が死亡したとき、高度障害状態になったとき、または満期まで生存したときに生命保険会社から受取人に支払われるお金のことをいいます。 通常、保険金が支払われると、そこで保険契約は終了します。
給付金とは、生きている間に受け取るお金
給付金とは、被保険者が入院・手術したときなどに生命保険会社から受取人に支払われるお金のことをいいます。 つまり、生きている間に受取る保険金のことです。
ここまで、生命保険特有の5つの基礎用語を解説してきました。これを図に表すと、以下のようになります。
実際の保険証券で契約者・被保険者・受取人を確認する
すでに保険に加入している人は、実際の保険証券で契約者・被保険者・受取人が誰になっているか確認しましょう。保険料を払って、実際に恩恵を受けるのは給付金や保険金を受け取るときです。そのときに、「誰が受取人になっているか」という出口の部分はとても大切です。
以下にて、医療保険、終身保険、年金保険の実際の保険証券をご紹介します。参考にしつつ、ご自分の保険証券を確認してみましょう。
医療保険:病気やケガで入院や手術をしたときに給付金が受け取れる保険
死亡保険金がないため、受取人は「給付金受取人」のみとなります。
終身保険:何歳で亡くなっても一時金で死亡保険金が支払われる保険
終身保険は被保険者が死亡したとき、高度障害状態になったとき、またはリビング・ニーズを受け取るときの3つの事由が発生します。そのため、受取人は3パターン記されています。
個人年金保険:契約時に定めた年齢から毎年一定額の年金が受け取れる保険
個人年金保険は、払込期間中は払込保険料相当額が死亡保険金として支払われるので、死亡保険金の受取人の指定が必要となります。上記の場合、年金開始年齢60歳となっていますので60歳から年金を実際に受け取る人を「年金受取人」に指定します。
まとめ
生命保険の基礎用語は、パンフレットや約款を見たり、プランを考えたりする上で必ず登場しますので、しっかりと理解しておく必要があります。特に、保険契約者、被保険者、受取人の違いはポイントです。
実際、保険の対象になっている人は被保険者です。間違えないようにしましょう。
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