社会保障制度は「ゆりかごから墓場まで」というセーフティネット

投稿日:2019年6月15日 更新日:

ゆりかごから墓場まで

健康で文化的な最低限度の生活できるように、日本には社会保障があります。厚生労働白書によると、「社会保障の目的は、国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民に健やかで安心できる生活を保障すること」とうたわれています。

つまり、社会保障制度は、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティネットです。社会保障制度は、3つの機能があります。

  1. 将来起こるかもしれないリスクに対応して、国民の生活の安定をもたらす機能(生活安定・向上機能)
  2. 社会全体で所得の少ない人を支える機能(所得再分配機能)
  3. 景気の変動を緩和して経済成長を支える機能(経済安定機能)

そして、これら3つの機能させるために、社会保障制度には、4つの制度があります。

  1. 社会保険
  2. 社会福祉
  3. 公的扶助
  4. 保険医療・公衆衛生

このうち、社会保険以外は国の財源のみにより国民に提供されるものです。このページでは、4つの制度について解説していきます。

1. 社会保険

社会保険には、「年金」「医療」「介護」があります。対象となるのは「病気、ケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業」です。会社員にはなじみが深い労災保険や雇用保険もこのくくりに入ります。

社会保険は、国民がさまざまな障害によって生活が立ち行かなくなることを想定しています。そのリスクに対応するために、あらかじめ強制的に社会保険に加入させておき、「病気、ケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業」が起こったら国が生活を保障する制度です。

強制加入であるため、保険料も比較的安価です。なぜなら、財源のすべてを国民から徴収している保険料に負っているわけではなく、租税財源による国や地方自治体の負担分も少なくないからです。また、収入が低ければ低いほど優遇されます

たとえば、国の年金制度は2分の1が国庫負担です。また、本当に保険料が支払えない人には免除制度というのものがあります。まったく収入がなく、生活保護ももらわずに預貯金で生活している人がいるとします。その人は、「全額免除」は申請すれば、保険料を支払うことなく、将来、本来もらうべき年金額の半分の年金がもらえます。

2. 社会福祉

社会福祉とは、子どもの保育や障がい者への福祉サービスで、保育所の提供や児童手当の給付、障がい者への自立支援が含まれます。

社会福祉は、社会保険と公的扶助の間に位置する制度ともいわれます。理由は、以下の2つです。

  1. 社会保険は国民が保険料を納める制度であるのに対し、社会福祉は税金を財源として政府が給付を行う制度である。
  2. 社会保険の1つである医療保険で受診する医療機関を選べるのと同様に、保育所などを利用者が選べる。

公的扶助との共通点は、税金を財源にしていることです。相違点は、公的扶助は所得制限がありますが、社会福祉は所得があっても社会福祉のサービスが受けられることです。

3. 公的扶助

公的扶助とは、社会保障の最後のセーフティネットとも言われ、社会保障制度の一番下を支えている制度です。経済的に生活が立ち行かなくなっている人たちに、必要な保護を行い、自立を助けることです。

つまり、生活保護制度です。

生活保護は、世帯の人数や住所、困窮の度合いなどで給付の額が変わります。給付を受けると、住民税や国民年金の保険料などが免除されます。

4. 保険医療・公衆衛生

保険医療・公衆衛生とは、国民が健康な生活を送ることを目的として、予防や衛生について定めた制度です。健康全般に関する制度で、カバーする範囲が広いです。たとえば、各種医療サービスや伝染病の対策、下水道の整備などが含まれます。

保健所などはこの制度に基づいて運営されています。海外から感染症が国内に入ってくることを防ぐ「検疫」もこの分野に含まれます。

このように、目に見えない「衛生」という部分においても社会保障の恩恵を受けています。

これまで説明した内容をまとめると、以下のようになります。

このように、英国の社会保障制度である「ゆりかごから墓場まで」を参考に、日本の社会保障制度も生まれてから死ぬまで、国民の生活を支える制度となっています。

しかし、保障の対象となった場合でも、国から自動的に給付されるわけではありません。申請しないともらえないという大原則があります。それぞれの制度のしくみをしっかりと理解して、申請漏れしないようにしましょう。

また、日本の少子高齢化の問題が今後一段と進んでいくと、国民所得に対する租税・社会保険料の割合を示す「国民負担率」の上昇を招くこととなり、社会保険の給付と負担のバランスが崩れていくと予想されます。

国や企業に社会保障の全てを依存するのではなく、並行して自助努力していかなくてはなりません。

このように社会保障制度の全体像を把握することで、民間の保険を検討する際に、ムダ・ムラ・ムリのないプランにすることができるのです。

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