介護状態になったとき、受けられる公的介護保険の8つの給付

投稿日:2019年6月15日 更新日:

介護

介護や支援が必要であると市区町村などに認定された場合には、介護保険からのサービスを利用できます。なぜなら、平成12(2000)年4月より、介護保険制度がスタートしていて、原則として40歳以上の国民全員が公的介護保険制度に加入しているからです。

公的保険(社会保険)には、医療保険制度、年金保険制度がありますが、これらが「現金給付」という点に対して、介護保険制度はお金がもらえるわけではなく、介護サービスそのものが給付される「現物給付」となっている点が他の制度との大きな違いです。

65歳未満と65歳以上で異なる介護保険制度

介護保険制度は、65歳以上の人を第1号被保険者40歳以上65歳未満の人を第2号被保険者といい、保障される範囲や保険料等が異なります。

65歳以上の第1号被保険者は、原因にかかわらず、要介護・要支援状態になったときに介護サービスを利用することができます。保険料率は、所得状況に応じて原則6段階となっていて、全国平均は4,972円(平成24年~平成26年度)です。被保険者数や市区町村のサービス内容などによって異なるため、地域による格差があります。また、3年に1回改定されることになっています。

40歳から64歳の第2号被保険者は、加齢に伴う16種類疾病によって、要介護・要支援状態になった場合に限り、介護サービスを受けられます。つまり、事故などケガによって介護が必要になっても、介護サービスは受けられません。 それぞれが加入する医療保険制度の算定基準に基づき保険料を設定し、一般の医療保険料に上乗せする形で一括して支払っています。

共通項としては、介護が必要と認定された場合に、費用の一部を支払って介護サービスを受けることができる点です。

つまり、公的医療や公的年金とは異なり、サービスの提供という“現物支給”が原則であり、現金で受け取ることはできない点を認識してください

介護保険制度の概要をまとめると、以下のようになります。

介護保険のサービスを受けるために必要なこと

介護保険サービスを受けるためには、要介護・要支援認定をしてもらう必要があります。この認定を受けるためには、居住している市区町村の窓口に所定の申請書を提出することになりますが、この申請は本人と家族のほか、民生委員、介護事業者等が代行することも可能です。

要介護・要支援認定には有効期間があります。新規申請の場合は、原則として申請日から6ヶ月となります。更新認定の有効期間は、原則として有効期間満了日の翌日から12ヶ月です。また、心身の状態が大きく変わったときは、いつでも変更の申請が可能です。

利用手続きの流れは以下のとおりです。

介護保険サービスから受ける8つの給付

介護保険サービスは、要介護・要支援認定の区分に応じて公的介護保険から給付される上限額(支給限度額)が決められています。要介護と認定された場合は「介護サービス」、要支援と認定された場合は「介護予防サービス」を利用することができます。

限度額以内の場合、費用の1割を負担します。限度額を超えた部分は全額自己負担となります。

ただし、一定以上の所得がある人は平成27年8月以降、2割負担になっています。一定以上所得者とは、以下の2つの条件満たしている場合です。

  • 本人の合計所得金額が160万円以上→収入から公的年金控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で、基礎控除や人的控除等の控除をする前の所得金額
  • 単身の場合:年金収入+その他の合計所得金額(給与収入や事業収入等から給与所得控除や必要経費を控除した額)が280万円以上
    同一世帯に第1号被保険者がいる場合:年金収入+その他の合計所得金額が346万円以上

要介護度に応じた利用上限額(月額)について、まとめたのが以下の一覧表です。

要支援、要介護のいずれにも該当しない場合は、市区町村が介護予防事業として定めるサービスを利用できます。

「介護予防サービス」は生活に必要な機能を維持・改善していくことが目的のため、「介護サービス」に比べて利用できるサービスの種類や内容は限定されます。

また、要介護と要支援では多少名称も異なりますので、要介護の給付を中心に解説していき、カッコ内で要支援について補足していきます。

主な給付は以下の8つです。

居宅介護サービス費(要支援:介護予防サービス費)

都道府県が指定する指定居宅サービス事業者から訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導など、居宅において介護(介護予防)を受けることができます。

在宅サービスの目安の一覧は以下です。

地域密着型介護サービス費(要支援:地域密着型介護予防サービス費)

市町村が指定する指定地域密着型サービス事業者から定期巡回・臨時対応型訪問介護看護、複合型サービス等の指定地域密着型サービスを受けることができます。

居宅介護福祉用具購入費(要支援:介護予防福祉用具購入費)

自宅において介護(介護予防)を受ける人が、入浴又は排泄用具といった特定福祉用具を、指定を受けた事業者から購入した場合、その費用が給付されます。いったん全額を支払った後、自己負担額を差し引いた額が保険から給付されます。同一年度(4月~翌年3月)につき10万円(給付は9万円まで)が限度額となります。

居宅介護住宅改修費(要支援:介護予防住宅改修費の支給)

自宅の手すりの取り付けや段差解消等、小規模な住宅改修に要する費用が給付されます。いったん全額を事業者に支払った後、自己負担額を差し引いた額が保険から給付されます。同一住宅につき20万円(給付は18万円まで)が限度額となります。

居宅介護サービス計画費(要支援:介護予防サービス計画費)

ケアマネージャー(介護支援専門員)は、自宅において介護(介護予防)を受ける人の心身の状態や希望等に応じた介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、確実に介護サービスが提供されるように各機関等と連絡調整等を行ってくれます。保険からの給付額は利用料の全額のため、無料となります。

施設介護サービス費

要介護認定を受けた人が利用できるサービスで、要支援認定の人は対象外です。要介護認定の区分に応じて、施設サービスにかかった費用の1割を負担します。また、居住費、食事、日常生活費等の費用は原則自己負担となります。

参考までに、さまざまな種類の施設の費用の目安などを一覧表にまとめてみました。民間型は、施設や場所によって、費用の幅が大きいですので、気になる施設のパンフレットなどを取り寄せたり、見学などで確認することが大切です。

高額介護サービス費(要支援:高額介護予防サービス費)

1ヶ月における介護サービスの自己負担額が高額となった場合に、自己負担限度額を超えた部分について、請求すれば後日返金を受けることができます。同じ世帯に複数の利用者がいる場合には世帯で合計することができます。自己負担限度額は、住民税世帯課税者や非課税者かによって異なりますが、住民税世帯課税者なら、月4万円弱です。

利用者は、一度申請をおこなえば、次回以降も継続して給付の申請をしたこととされます。

しかしながら、自宅で介護サービスを受けている場合の福祉用具の購入費や住宅改修費などについても対象とはなりません。また、老人ホームなどの居住費や食費、差額ベッド代、生活費などを含むことはできません。

以下の表で、それぞれ要介護5に認定された夫婦(住民税課税世帯)が居宅介護サービスを限度額まで受けたとき、高額介護サービス費の適用で、約35,000円払い戻しがある事例について、説明しています。

高額医療合算介護療養費(要支援:高額医療合算介護予防療養費)

平成20(2008)年4月より新設された制度で、公的医療保険と公的介護保険の両方の自己負担額(高額療養費および高額介護サービス費の給付を受けることができる場合には、その額を除く。)が高額となった場合に、自己負担限度額を超えた部分について、請求すれば後日、公的医療保険から返金を受けることができます。

世帯内で同一の公的医療保険に加入していることが条件で、合算期間は毎年8月1日~翌年7月31日の1年間です。「健康保険の窓口負担」と「介護保険の利用者負担」が「高額介護合算療養費の自己負担限度額」に500円(支給事務に要する費用)を加えた金額を超えた場合、払い戻しされます。

給付の申請のためには1年間分の領収書原本の保管が必要となりますが、「高額療養費」と「高額介護サービス費」で還付を受けた上で、さらに超過分を払い戻してもらえる制度なので、利用することをお勧めします。

しくみと自己負担限度額について、以下の表にまとめました。健康保険に加入している70歳の場合、高額介護合算療養費の適用で、約42万円払い戻しがある事例について、説明しています。

このように、日本では介護状態になったときに、介護サービスが受けることができる制度があります。

ただし、高齢化の進行などで介護認定者数は増え続けていて、介護給付費の増大は避けられません。自己負担限度額などの制度が今後改悪される可能性もあります。公的介護保険に頼りすぎず、並行して自助努力していかなくてはいけません。

このように、公的介護保険制度の全体像を把握することで、民間の介護保険を検討する際に、ムダ・ムラ・ムリのないプランにすることができるのです。

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