介護保障は、人生100年を生きる時代の日本人にこそ必要な保障

投稿日:2019年6月15日 更新日:

人生100年時代

「介護保障は必要?」を考える上では、公的介護保険の自己負担のしくみを知ることが大切です。

介護保障とは、寝たきりや認知症により介護が必要になった時の経済的リスクを補う保障です。

主なニーズとして、

  • 病気やケガなどで高度障害になった場合の保障を準備したい
  • 寝たきりや認知症で介護が必要になったときの保障がほしい

があります。

介護についてはあなたは考えたくないと思いますが、人生100年を生きる時代においては、避けられないテーマです。

このページでは、介護保障の必要性について、公的介護保険制度を確認しつつ、説明していきます。

公的介護保険が理解しにくい3つの理由

介護保障として、平成12(2000)年4月に、公的介護保険はスタートしています。一方、医療保障である公的医療保険は昭和36(1961)年に「国民皆保険」の体制が整っています。

そのため、公的介護保険について、まだまだ全世代が概要を把握できていないのが現状です。

なぜ、公的介護保険は理解しにくいのか、公的医療保険と比較しつつ、3つの理由をまとめてみました。

対象者に制限がある

公的医療保険は、生まれたときから全員が何らかの制度に加入しています。それに対して、公的介護保険は、原則として40歳以上ということですので、40歳未満は対象外になります。

年齢によって、介護の理由に制限がある

公的医療保険は、保険証1枚で、必要な医療を受けることができます。それに対して、公的介護保険は、原則として40歳以上ですが、さらに、65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人を第2号被保険者に区分していて、保障される範囲や保険料等が異なります。

65歳以上は、原因にかかわらず、要介護・要支援状態になったおきに介護サービスを利用できます。一方、40歳以上65歳未満である第2号被保険者は、加齢に伴う16種類疾病によって、要介護・要支援状態になった場合のみ給付対象となります。

給付が現金ではない

公的医療保険が「現金給付」という点に対して、公的介護保険はお金がもらえるわけではなく、介護サービスそのものが給付される「現物給付」となっています。

このように公的介護保険で対象外もしくは制限がかかっている点をカバーするのが、民間の介護保険の役割といえます。

「介護=高齢者の認知症」は大きな勘違い

介護とは、高齢者の「認知症」のイメージが強いですが、介護が必要となった主な原因のトップは、「脳血管疾患(脳卒中)」です。つまり、介護保障は年齢に関係なく必要なのです。

それでは、介護保障を用意していない場合、具体的にどのような経済的リスクがあるか、3つの年齢層に分けて解説していきます。公的介護保険の対象外である40歳未満、公的介護保険の第2保険者である40歳~65歳未満、第1号被保険者である65歳以上の3つに分けて、それぞれの必要性について解説していきます。

40歳未満:公的介護保険の対象外

40歳未満は、公的介護保険の対象外になりますので、介護保障はすべて自助努力となります。医療は入院・手術など完治により、短期間で日常生活に復帰できる可能性がありますが、介護は始まってからの期間の平均が5年弱と長期に渡るケースが多くなっています。

本人の就業不能状態が一番の経済的リスクとなります。

また、在宅介護の場合、介護する家族が仕事をセーブすることにより世帯全体の収入が減少する可能性もあります。

このように、公的介護保険の対象外である40歳未満は、介護状態になったとき、本人の長期的な経済的リスクに備えるのはもちろんのこと、介護してくれる家族に対しても金銭的に用意する必要があります。

介護が必要となった原因と介護期間について、以下にまとめてみました。介護が必要となった主な原因として、要介護者では「脳血管疾患」が最も多く、介護度が高いほど多くなる傾向がわかります。

40歳~65歳未満:公的介護保険の対象になる病気は「老化に伴う16の特定疾病」と制限あり

40歳から65歳未満は、公的介護保険の第2号被保険者となりますが、介護の理由に制限があります。

具体的には、「老化に伴う16の特定疾病」です。介護が必要となった主な原因のトップである「脳血管疾患(脳卒中)」は含まれていますが、指定されている疾病以外の病気やケガなどによって介護が必要になっても介護サービスは受けられません。

また、要介護認定を受けられたとしても、働き盛りの年齢における就業不能での収入減少に対しての現金給付はありません。公的介護保険の第2号被保険者は、事故などケガによる介護や収入減少などの長期的な経済的リスクに備える必要があります。

参考までに、16の特定疾病は以下の通りです。

65歳以上:公的介護保険の対象になる病気は理由を問われないのは、介護の必要な状態になりやすい年齢のため

65歳以上になると、公的介護保険の第1号被保険者となり、介護の理由が問われなくなりますが、介護の必要な状態になりやすい年齢となります

男女とも世界的にトップクラスの平均寿命ですが、介護を必要としない日常生活に制限のない「健康寿命」とは9~12年ほどの差があります。

特に、男性よりも平均寿命が長い女性は、介護期間も男性より長期化する傾向があります。

データで検証すると、以下の通りです。

介護状態で、公的介護保険を使うと、いくらかかるの?

要介護状態のときにかかる自己負担額について、以下の表にまとめてみました。

公的介護保険を使って受けることができる範囲内の介護サービスであれば、自己負担は比較的少なくてすみますが、介護保険の利用限度額を超えて利用する場合や対象外の介護サービスを利用する場合は、全額自己負担となります。

具体的には、(A)自己負担限度額、(B)上乗せサービス、(C)横だしサービスの合算が自己負担費用です。

 (A)自己負担限度額

自己負担から高額介護サービス費を差し引いた額です。 公的介護保険の給付対象となっている介護サービスの費用の原則1割が自己負担です。

自己負担額が高額になった場合に、自己負担額を大幅に抑制する高額介護サービス費制度があることで、自己負担は少なくなります。自己負担限度額は、住民税世帯課税者や非課税者かによって異なりますが、住民税世帯課税者なら、月4万円弱です。利用者は、一度申請をおこなえば、次回以降も継続して給付の申請をしたこととされます。

しかしながら、自宅で介護サービスを受けている場合の福祉用具の購入費や住宅改修費などについても対象とはなりません。また、老人ホームなどの居住費や食費、差額ベッド代、生活費などを含むことはできません。

なお、公的医療保険と公的介護保険の両方の自己負担額(高額療養費および高額介護サービス費の給付を受けることができる場合には、その額を除く。)が高額となった場合に、自己負担限度額を超えた部分について、請求すれば後日返金を受けることもできます。

(B)上乗せサービス

公的介護保険の利用限度額を超えて利用する場合の介護サービスです。介護サービスは、要介護・要支援認定の区分に応じて公的介護保険から給付される上限額(支給限度額)が決められていますので、その限度額以上に利用したい場合には利用料の全額自己負担することで、介護保険を利用した場合と同等の介護サービスを受けることが可能です。

(C)横出しサービス

自宅まで食事を届けてもらう配食サービスなど、公的介護保険の給付対象とならない介護サービスです。公的介護保険では適用外であるものの、市区町村ごとに独自の条件により比較的利用しやすい利用料でサービスを行っているものもあります。
また、施設へ入所してサービスを受けた場合、食費や家賃に相当する居住費は利用者が全額自己負担となります。

介護をするために毎月かかる費用について、以下のグラフにまとめました。在宅は平均月額5万円に対して、施設は平均月額10.9万円と倍かかることがわかります。

介護期間が長引けば長引くほど、経済的負担は重くなりますので、長期的な経済的リスクに備える必要があることがわかります。

このように、日本は公的介護保険制度はありますが、年齢や給付対象に制限があり、民間の介護保険でカバーしていく必要があります。給付対象になったとしても、介護保険の利用限度額を超えて利用する場合の介護サービスはすべて自己負担となります。

なぜ、介護保障が必要かというと、介護が心配な年齢層であれば、介護保険の利用限度額を超えた場合にかかるお金を補う、介護が身近に感じない若年層であれば、介護での就業不能による収入減少について考慮していく、という考え方をベースにすると、適切な金額での介護保険の加入につながります。

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