年代別の経済的リスクから生命保険を考える

投稿日:2019年6月15日 更新日:

年代別の経済的リスクから生命保険を考える

生命保険を検討するときは、「私に万が一のことがあった場合、誰が困るか?」を思い浮かべてみることが大切です。ここでいう「困る」とは、精神的でなく、経済的なリスクに関することです。

たとえば、精神的なリスクとは、「大黒柱の夫がガンで亡くなり、悲しくて仕方がない」という感情の問題です。

一方、経済的なリスクとは、「大黒柱の夫がガンで亡くなり、残された家族の生活費や教育費はどうしたらよいか」というお金の問題です。

経済的リスクは年齢によって変化するため、これをカバーする生命保険を、定期的に見直す必要があります。契約してから一度も見直さないまま、万が一のことが起こった場合、想像していた保障内容と違うと後悔するケースが多いからです。

電化製品であれば、経過年数によって劣化していきます。そのため、壊れたり、性能が劣ってきている変化がよくわかります。

しかし、生命保険は形がなく目に見えない商品なので、劣化することはありません。自分や家族状況は年齢によって変化するので、保障内容が合わなくなることが起こりやすいのです。

そこでこのページでは、年代別の経済的リスクについて、順を追って解説します。

20歳から29歳までの方

20代前半は社会人になり、働き始めるスタートの時期です。20代後半は仕事にも慣れてきて、稼いだお金を自由に使うことができます。

このとき、あなたが独身で、親や兄弟姉妹があなたの給料を生活費のあてにしていないのであれば、残された家族は経済的に困ることはありません。

そのため、20代は3,000万円や5,000万円といった大きな死亡保険は不要です。検討するべき保険は、病気やケガになった場合、入院や手術の保障がある医療保険です。

並行して、日本人の死因の第1位であるがんに備えるがん保険もお勧めします。20代女性の入院理由の第1位はがんであり、20代男性の入院理由は、第1位の骨折に次いで、第2位はがんだからです。

特に、20代の女性の間で「乳がん」が急増しています。

実際に、テレビなどで見る女性芸能人が、がんを公表するときの多くの病名は、乳がんです。がんにかかると、治療費はもちろんのこと、それ以外にも交通費や付き添いの宿泊費をはじめ、思わぬ出費がかかります。

このように、がん家系ではない、という理由だけで、がん保険を避けることはできないのが現状です。実際に遺伝するがんは5%程度であり、がんの要因のほとんどは生活習慣によるものだといわれています。

そのため、20代の方は予期せぬ病気やケガに備えて、医療保険やがん保険に加入しておくことをお勧めします。

30歳から39歳までの方

30代になると、結婚や出産など、さまざまなライフイベントが多い時期です。そのため、出産費用や子どもの入学資金、マイホームの頭金など、貯蓄でまかないきれないことが起こります。

たとえば、子どもがいる家庭は、教育資金の準備を始めなければなりません。文部科学省の「子供の学習費調査」によると、子ども2人が公立中学校に通う場合の概算額は、学費が月3.7万円で、高校受験に備えるための塾代が月2.3万円かかります。

つまり、教育費は1人あたり月に6万円程度かかり、2人で12万円にもなります。

教育費は「もしかしたら必要になるお金」ではなく、「生まれた瞬間、必要になることがわかるお金」です。教育費が不足して、希望の学校に進学できないようなことがないようにするのが親の役割です。

このように、30代になると少し考えただけでも、これだけの経済的リスクがあります。

もし、小さい子どもがいる一家の大黒柱が亡くなった場合、残された家族の収入減は避けられないため、路頭に迷うことになります。

このような事態に陥らないためには、家族がいる以上最低限の生命保険の加入は必須と言えます。そのため、30代になり家族がいる場合、医療保険に加えて生命保険の加入も視野に入れておくことをお勧めします。

このとき、生命保険は「掛け捨ての保険」だけでなく、「貯蓄性のある保険」としての機能もあります。運用リスクは、金融機関にあるため、大きくお金を増やすことは難しいですが、教育費の準備を「貯蓄性のある保険」で用意することができるのです。

「掛け捨ての保険」と「貯蓄性のある保険」のバランスを考慮しつつ、将来を見据えて保険の加入を検討しましょう。

40歳から49歳までの方

40代になり、30代で子どもが生まれた家庭は、住宅購入や教育費がピークになる時期であり、一番の踏ん張り時です。

※最近は晩婚化が進んでいるため、結婚したてで子どもがまだ小さい場合、上記の「30歳から39歳までの方」の解説をご確認ください。

たとえば、給料が40万円の場合、平均的な家計の1ヶ月の内訳は、15%の社会保険料、10%の所得税、25%の住宅ローン、そして、12万円の教育費を差し引くと、手元に残るお金は8万円しかありません。

生活費や、受験に向けての夏期講習代や受験料など、突発的な支出を考えると、ほぼ手取りはなくなります。その結果、貯蓄額が減少します。

そんな苦しい年代だからこそ、1円も無駄な保険料を支払うことのないように、20代や30代で契約した保障内容を今一度見直す絶好の機会なのです。

その際の優先順位は、残された家族の生活費や教育費を確保する死亡保険です。一家の大黒柱が亡くなった場合、お金がないという理由で、希望の学校に進学できないようなことがないようにするためです。

このように、40代は、医療保険やがん保険をベースに、死亡保険の見直しをしましょう。

50歳から59歳までの方

50代からは人生のイベントを乗り越えて、まとまった貯蓄をする時期です。なぜなら、60代で定年退職を迎えるまで、給料という一定の収入がもらえる最後の年代だからです。

たとえば、30代で子どもが生まれた場合、子どもは独立する年齢に達します。大黒柱が亡くなった場合、子どものための教育費の備えは不要のため、その分の資金を自分自身の資産形成に充てることができます。

60歳もしくは65歳以降は、定年退職により、今まで当たり前のように毎月入ってきた給料が途絶えます。

総務省の「家計調査報告」によると、年金で暮らす夫婦の家計収支は月24万円であり、年金から社会保険料や税金を引いた手取りが月18万円です。つまり、現役の年金受給世代はすでに月6万円の赤字が生じている現実から、年金額の不足分が最大の経済的リスクとなります。

また、年齢を重ねるにつれて、介護のリスクも高くなります。健康保険加入者であれば、40歳から自動的に公的介護保険制度に加入しています。公的介護保険とは、介護が必要と認定された場合に、費用の一部を支払えば介護サービスを受ける制度です。

しかし、サービスの提供という「現物支給」が原則であり、現金で受けとることはできません。

たとえば、介護状態になった場合、自宅で介護サービスを受けることもあれば、施設に入居することも想定されます。このように、「いつ・どれくらい必要になるか」という不安に備え、経済的リスクを補う「介護保険」を検討することをおすすめします。公的介護保険が現物支給であるのに対し、民間の介護保険は現金給付だからです。

このように、50代は子どもが独立したら、多額の死亡保険の見直しが必要です。死亡保険の削減と教育費がかからなくなった分で「貯蓄性のある保険」を検討します。また、生きるための保障である医療保険や介護保険に加入しておくことをお勧めします。

60歳から69歳までの方

60代からは、定年退職で退職金を受け取る一方、給料ではなく年金で生活する年代です。

たとえば、子どもが独立し、住宅ローンを完済した場合、家賃の負担がなくなります。また、交際費や食費は自然に小さくなるため、現役時代の3分の2で生計を立てるというのが平均的な水準です。

ただし、現役時代と同じ感覚で生活していると、まとまったお金の取り崩しも底をついて、家計破綻を引き起こします。毎月の保険料が大きな負担になっているような場合、思い切って削減することをお勧めします。

このように、60代になると年金という限られた収入で、経済的リスクに備えることになります。

これに加え、健康への不安も抱えています。もし、病気で入院した場合、医療費は家計の大きな負担になります。

そのため、最低限の医療保険の加入は必須と言えます。入院した後、完治せず、介護状態になったことを考慮し、医療保険に加えて介護保険の加入も視野に入れておくこと良いでしょう。

ここまで、年代別の経済的リスクから生命保険を考えてきました。これを図に表すと、以下のようになります。

 

誰のために保険に加入しますか?

生命保険は、年齢が若いほど保険料が安くなります。

ただし、病気になると保険に加入できなかったり、保険料が割り増しになったりすることもあります。そのため、既婚者であれば、遅くとも40代前半までに死亡保険や教育資金を仕込んでおくことが大切です。

また、50代や60代は、教育資金の代わりに介護保険を検討する一方、不要な保障を削減して保険料負担をおさえるなどの、微調整の時期ともいえます。

これまで述べてきた通り、単に保険といっても年代によって加入するものは大きく異なります。

雨が降ってから傘を買うのでは手遅れになるのが生命保険です。年代別にリスクが異なることを頭にいれつつ、早いタイミングで保険の見直しをすることをお勧めします。

Copyright© かづな先生の保険ゼミ , 2019 All Rights Reserved.