定期付終身保険は、退職金と年金だけで生きた時代の保険

投稿日:2019年6月15日 更新日:

定期付終身保険

生命保険には、「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つのタイプがあります。定期付終身保険とは、「終身保険」に「定期保険」をセットした保険です。

あなたにあった死亡保険を選ぶためには、「定期付終身保険」がどんな保険であるかを知っておく必要があります。なぜなら、この保険の問題点に早く気づいてもらいたいからです。あなたが60歳になって、この保険が待ち構えている問題に初めて気づいて、困る事態になってほしくありません。

このページでは、定期付終身保険のしくみと問題点について説明します。

定期付終身保険は、途中で大きな死亡保障額がなくなる保険

定期付終身保険とは、一定期間に亡くなったときは大きな死亡保険金が支払われますが、それ以降はわずかな死亡保険金が支払われる保険です。文字通り、終身保険に定期保険が付いているだけなので、分離して考えるとわかりやすいです。

終身保険は、一生涯、確実に保障が確保できるのがメリットですが、定期保険と同じ保険金額で保険料を比較すると割高になります。また、一生涯、多額の死亡保障が必要ないこともあります。

そこで、一生涯残したい最低限の死亡保険金を「終身保険」で用意し、不足する保険金額を割安な保険料の「定期保険」で用意する「定期付終身保険」が一般的な保険加入のプランとなりました。

「終身保険」という名前が付いているため、加入している人は、一生涯大きな保障がついていると思っている人が多いのが現状です。

定期付終身保険は、日本でもっともポピュラーな保険

昭和35(1960)年代に発売を開始した「定期付終身保険」が脚光を浴びたのは平成2(1990)年代になってからです。その時代から平成12(2000)年以前の契約日の死亡保障に加入している方は、定期付終身保険であるケースが多いです。

「利率変動型積立終身保険」(アカウント型保険)の登場によって、販売中止にする保険会社もありましたが、「利率変動型積立終身保険」の悪評もあり、「定期付終身保険」は密かに復活しています。昔も今も、日本ではもっともポピュラーな保険です。

更新型」は10年など一定期間後、保険料が上がります

終身保険に付加する定期特約部分の保険期間の違いにより、「更新型」と「全期型」の2つのタイプがありますが、現在発売されているほとんどの商品は「更新型」です。

更新型」は、契約時から、10年など一定の期間は同じ保険金額・保険料です。特約保険期間が終わると、健康状態に関係なく原則として、終身保険の払込期間満了まで、同じ保障内容で継続することができます。更新時の年齢で保険料が決まるので、保険料は上がっていきます。

契約時の保障が一生涯続くと思うのは大きな誤解です。定期特約の保険期間が終わったときには、終身保険の保障のみが一生涯続く保障額となります。

例えば60歳で払込期間終了、200万円が「終身保険」部分、4,800万円が「定期特約」部分とした場合、60歳を過ぎると200万円のみの保障になってしまいます。

保険料は、30歳時18,000円、40歳時25,000円、50歳時は40,000円と、自動更新ごとに上がります。総払込保険料は996万円で、60歳で解約する場合、140万円ほどしか戻ってきません。

また、医療保障として入院給付金日額5千円の医療特約を付加していた場合、80歳まで更新可能ですが、ここで一時金160万円を払い込む必要があります。

これをイメージ図に表すと、以下のようになります。

20-1定期付終身保険

平成27年度の生命保険文化センターの調べによると、男性の死亡保険金の平均加入額は2,423万円です。それに対し、生命保険協会のデータから、死亡保険金の支払平均額を計算すると、実際に支払われる保険金248万円です。

このように、保険料の支払いは一定期間で終わるものの、大きな保障がそこで切れてしまい、定期特約である2,175万円分の保険料がほとんど掛け捨てで戻ってこないのが現状です。

このことに60歳が到来したときに、気づいてほしくありません。60歳以降不足する保障額を新規で加入しようとしても、そのときの健康状態が問われるため、困難な可能性もあります。また、年齢が上がるにつれて、保険料もアップします。

「60歳まで保険料を支払って、大きな保障額が切れてしまい、保険料がほとんど掛け捨てで戻ってこない」保険が通用するのは、20世紀の時代のことです。なぜなら、60歳以降の老後資金を自分で用意しなくても、退職金や年金で暮らしていけたからです。

21世紀に老後をむかえるあなたは、退職金と年金が期待できません。また、60歳以降も再雇用などで働く時代ですので、60歳過ぎても、毎月お給料を持ってくる大黒柱が万が一のことがあったら、残された家族は困ります。

これから、60歳過ぎても、保険が必要な時代になりました。定年と同時に、大きな保障がなくなる「定期付終身保険」の見直しをすることをお勧めします。

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