【保険見直しSTEP2】社会保障制度をよく知って損しない保険見直しにする

投稿日:2019年6月11日 更新日:

厚生労働省

ライフプラン表を作成して、「いつ」「どのくらい」お金が必要かを算出すると、気が遠くなるような目標額に驚く人も少なくありません。

「貯金100万円あれば、医療保険はいらない」
「老後の資産は1億円必要」

とメディアで特集している場合もあります。この根拠が正しいかどうかは、国の社会保障制度を確認することが大切です。

誰もが健康で生活費が不足することはない、とは言い切れません。だから、社会保障という制度が社会的には必要なのです。

また、社会保障制度の多くは「申請主義」ですので、どんなに良い制度があってもそのことを知らず申請手続きを取らなければ利用することはできません。

本来保険とは、社会保障制度では足りない保障を補完する役割です。それゆえ、保険見直しをするときは、「すでに持っている保障」を知ることで、ムダな保険料を支払い続けるという事態から逃れることができます。

このページでは損しない保険見直しにするために知っておくべき社会保障制度について解説します。

社会保障制度の全体像

保険見直しをするのに押さえておきたいのは、社会保障制度の中でも「社会保険」です。

社会保険には、医療保険、介護保険、年金保険などがあります。生まれてから死ぬまでの、一生におけるさまざまなリスクを補う役割があります。

社会保険制度を知ることで、民間の保険加入などが最小限に抑えられるので、手取りアップにつながります。

まずは、全体像を把握するという意味でも、国民のセーフティネットである社会保障制度を確認してみましょう。

ゆりかごから墓場まで
社会保障制度は「ゆりかごから墓場まで」というセーフティネット

健康で文化的な最低限度の生活できるように、日本には社会保障があります。厚生労働白書によると、「社会保障の目的は、国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民に健やかで安心できる生活を保障すること」とうたわ ...

死亡したとき

亡くなったときの遺族の生活保障として、遺族給付という公的保障があります。

例えば、大黒柱であるご主人が厚生年金に加入している場合で、3歳と1歳のお子さまを残してそのご主人が亡くなったら、残された妻は遺族基礎年金遺族厚生年金、子の加算2人分の年金を受け取ることができます。

この給付は、年金制度の保障の1つです。亡くなった方が加入していた年金制度と遺族によって、受けられる遺族年金は異なります。

年金と言えば、年金生活のときに受け取るお金というイメージが強いですが、このように残された家族の生活を支えてくれる保障もあります。

以下のページで「亡くなったときは公的年金が遺族を守ってくれることを知る」を解説しています。生命保険の見直しをするのに参考にしてくださいね。

死亡
亡くなったときは公的年金が遺族を守ってくれることを知る

亡くなったときの遺族の生活保障として、遺族給付という公的保障があります。亡くなった方が、公的年金制度の加入者であった場合もしくは年金受給者であった場合が条件となります。 亡くなった方が加入していた年金 ...

病気・ケガをしたとき

人生の中では、思わぬケガをしたり病気になるケースもあります。

病気やケガをして病院に行ったとき、医療費は原則3割負担で、必要な治療を受けることができます。それに対して、アメリカは公的医療保険制度はありませんので、10割負担となります。

また、フリーアクセスであり、受診する医療機関を自由に選ぶことができます。一方、イギリスは、地域にある近くの診療所に登録します。登録していない医療機関に行っても、受診することはできません。

昭和36(1961)年に「国民皆保険」の体制が整い、生まれたときから全員が何らかの公的医療保険制度に加入していますが、意外にその内容を知らない人も多いです。

特に高額療養費制度は画期的な内容で、1カ月の医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額を超えた部分が払い戻されます。

例えば、69歳以下で年収約370万~約770万円の人が仮に1カ月100万円の医療にかかった場合でも自己負担額は約9万円に抑えられるのです。

以下のページで「病気・ケガをしたとき、健康保険から受けられる7つの給付」を解説しています。医療保険の見直しをするのに参考にしてくださいね。

健康保険証
病気・ケガをしたとき、健康保険から受けられる7つの給付

病気やケガをして病院に行ったとき、保険証1枚で一定の自己負担により必要な医療を受けることができます。なぜなら、昭和36(1961)年に「国民皆保険」の体制が整い、生まれたときから全員が何らかの公的医療 ...

介護状態になったとき

元気な高齢者でも転倒や骨折などにより、ある日突然、介護状態になることもあります。

また、三大生活習慣病の1つである脳卒中で、後遺症が残ってしまった場合にも介護が必要になってきます。

介護を必要とするのは認知症患者ばかりではありません。医療の延長上に一しているのが「介護」になります。

2000(平成12)年から公的介護保険制度が始まりました。40歳以上の人は必ず加入することになっています。

公的保険(社会保険)には、医療保険制度、年金保険制度がありますが、これらが「現金給付」という点に対して、介護保険制度はお金がもらえるわけではなく、介護サービスそのものが給付される「現物給付」となっている点が他の制度との大きな違いです。

厚生労働省の調べでは、65歳以上の高齢者数は、2042年にピークを迎えると予測されています。75歳以上の人口も特に都市部では急速に増加する見込みで、全人口に占める割合は2055年には25%を超える見込みです。

このような超高齢化社会を迎え、介護リスクへの備えとして利用できるのが公的介護保険です。

介護保険が始まった2000年当初は、「自分は要介護状態にはならないで、この世からいなくなるから大丈夫」といっていた人も多かったです。

しかし、人生100年時代となり、人生の最期は介護状態にならないで亡くなるのは難しい時代となりました。

以下のページで「介護状態になったとき、受けられる公的介護保険の8つの給付」を解説しています。介護保険の見直しをするのに参考にしてくださいね。

介護
介護状態になったとき、受けられる公的介護保険の8つの給付

介護や支援が必要であると市区町村などに認定された場合には、介護保険からのサービスを利用できます。なぜなら、平成12(2000)年4月より、介護保険制度がスタートしていて、原則として40歳以上の国民全員 ...

年金を心配する前に確認しておくこと

2019年6月に金融庁が報告した「老後に約2000万円の備えが必要」という報道が炎上しましたが、老後の不安を解消するために、公的年金はいくらもらえるかを確認することが必要です。

年金は職業や年齢によって加入する制度が異なります。そのため、将来もらえる年金額は現役世代に加入していた年金の種類によって大きく変わります。

いずれにしろ、これらの基礎となるのが「国民年金」で、20歳から60歳までの人は全員加入します。

これに加えて、会社員や公務員には「厚生年金」があり、給料や年金の加入期間の長さによって異なります。

50歳未満であれば、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を使って支給額の目安を把握することができます

また、50歳以上であれば、何歳から年額いくらの年金を受け取れるのか、参考値として知ることができます。

「老後資金1億円」というメディア特集を多く見かけますが、公的年金という収入を考慮していないケースが多いです。これは非常に大切なことなので、以下の2つの記事にて公的年金のざっくりとしたイメージをつかんでおきましょう。

年金生活
現役をリタイアしたら、生活を支えてくれる公的年金のしくみを知る

会社を退職したり、仕事をやめたりしてから、生活を支える中心は年金です。なぜなら、昭和36(1961)年に「国民皆年金」の体制が整い、20歳以上60歳未満の人が公的年金制度に加入しているからです。 この ...

出産したとき

「妊娠は嬉しいけど、貯蓄がなくてお金が足りるか不安…」という人は少なくありません。

厚生労働省の2016年のデータによると、出産時の入院・分娩費の平均は約42万円です。それ以外に、妊婦健診やマタニティ・ベビー用品の購入などがかかります。

しかし、正常分娩で健康保険が適用されない場合でも、「出産育児一時金」として1人につき42万円もらえるなどの公的制度があります。このような額を差し引くと、実際の負担額はそれほど多くなく、10万円以内で済むこともあります。

出産後もお金の面で育児をサポートしてくれる制度がありますので、以下の記事「妊娠・出産・育児でもらえるお金・戻ってくるお金」で確認しておきましょう。

妊娠・出産・育児にかかるお金
妊娠・出産・育児でもらえるお金・戻ってくるお金

妊娠・出産・育児では、家族が増えることでの経済的リスクを軽減するため、国や自治体、社会保険制度からの公的制度があります。 主にもらえるお金として、健康保険に加入している人であれば「出産育児一時金(家族 ...

まとめ

このページでは国からもらえる社会保障に関するお金について解説をしました。いかがでしたでしょうか?

このページでお伝えしたことをまとめると次の通りです。

このページのまとめ

  • 保険見直しをするときには社会保険制度を知るべき
  • 社会保険制度を知ることで、民間の保険加入などが最小限に抑えられる
  • 亡くなったときの遺族には遺族給付という公的保障がある
  • 病気やケガをした、健康保険から7つの給付が受けられる
  • 40歳以上の人は必ず介護保険に加入する
  • 介護保険は、介護サービスそのものが給付される「現物給付」
  • 老後の不安を解消するために、公的年金はいくらもらえるか確認することが大切
  • 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を使って支給額の目安を把握することができる
  • 出産したときは「出産育児一時金」という公的制度があるので、実際の負担額は少ない

保険見直しをする際には、国からもらえるお金は確認するべきです。

ただし、健康保険料の給付や保険料の改正、年金保険料のアップなど、改正されるケースが多いです。

ですので、経済ニュースなどを常にチェックする習慣をつけておきましょう。

また、国からもらえるお金は申請して初めて手に入れることができます。

これは知っていると知らないのとでは大違い!どんなときにどんな制度に申請できるのかを、事前にチェックすることを心がけてくださいね。

そして、保険見直しの全体像のイメージがわかったら、次は「良い会社選び」が重要になってきます。

人生100年時代が到来し、保険との付き合いは長期となる可能性があります。

以下のページに書かれている「最適な保険選びにするために、安全な保険会社の見分け方を知る」に進んでくださいね!

おさえておく
安全な保険会社
【保険見直しSTEP3】最適な保険選びにするために、安全な保険会社の見分け方を知る

※このページは「【保険見直しSTEP1】ライフプラン表を作り保険見直しする理由を明確にする」「【保険見直しSTEP2】社会保障制度をよく知って損しない保険見直しにする」を読んでから、お読みいただくこと ...

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