特定疾病保障保険とは、三大疾病であるがん・急性心筋梗塞・脳卒中のいずれかにかかったときに一時金が受け取れる保険です。従来の死亡保障に、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)に対する生前給付の機能をプラスしたため、保険料は同じ保険金額の「定期保険」や「終身保険」よりも割高になっています。
保険会社によって、「三大疾病保障保険」や「重大疾病保障保険」など、名称が異なっていて、保険会社によって名称が異なります。それぞれにかかったときに一時金が受け取れるわけではなく、いずれかの病気に対して受け取った時点で保険が終了します。
日本では公的医療保険制度が充実しているため、特定疾病保障保険への加入は不可欠ではありません。しかし、三大疾病であるがん・急性心筋梗塞・脳卒中の場合に、自己負担がゼロというわけではなく、公的医療保険以外にかかるお金があることは事実です。このような医療費の自己負担のために用意するのが民間の特定疾病保障保険です。
あなたにとって適正な額の特定疾病保障保険を選ぶためには、「特定疾病保障保険」がどんな保険であるかを知ることが大切です。このページでは、特定疾病保障保険のしくみと選ぶポイントについて説明します。
特定疾病保障保険は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中により所定の状態になったとき、生前に一時金が受け取れる保険
特定疾病保障保険とは、三大疾病であるがん・急性心筋梗塞・脳卒中により所定の状態になったとき、生前に一時金が、生前に一時金を受け取らず亡くなった場合は、死亡原因にかかわらず死亡保険金が支払われる保険です。
三大疾病の所定状態については、各保険会社によって異なる場合がありますので、「ご契約のしおり-(定款)・約款」などで事前に確認する必要があります。
ここでは一般的な基準を解説します。
「がん」は一般的に、契約から90日(3カ月)後に悪性新生物と診断確定された場合が所定の状態となります。上皮内新生物は保障の対象外のことが多いです。一方、90日(3カ月)の免責期間を設けない保険会社もあります。
「急性心筋梗塞」「脳卒中」は一般的に、その状態が一定期間(60日など)継続し、さらにその後もお医者様からその病気により療養する必要があると診断確定された場合が所定の状態となります。つまり、医療保険やがん保険のように、入院した日数に応じて1日5,000円や10,000円など、契約した日額コースの入院給付金が支払われる保障ではありません。たとえば、59日で完治した場合は、何も保障がありません。
一方、一定期間(60日など)の免責を設けず、手術した場合、一時金を支払う保険会社もあります。
保険期間の設定は「終身保険」と「定期保険」
保険期間の設定には、一生涯保障の「終身保険」と一定の保険期間を定めた「定期保険」があります。
「終身保険」は、一生涯の保障です。保険料のかなりの部分が積み立てに回されていて、途中で解約すると、まとまった解約返戻金を受け取ることができるため、一般的には「貯蓄性のある保険」と言われています。
払込期間の設定には、一定年齢または一定期間で終了(満了)する「有期払い」と、一生涯払い続ける「終身払い」があります。
「定期保険」は、一定期間の保障で、「更新型」と「全期型」があります。
「更新型」は、契約時から、10年など一定の期間は同じ保険金額・保険料です。保険期間が終わると、健康状態に関係なく原則として、それまでと同じ保障内容で継続することができます。更新時の年齢で保険料が決まるので、保険料は上がっていきます。
「全期型」は、65歳など契約時から保険期間の満了まで同じ保険金額・保険料です。「更新型」と同じ条件で保険料を比較すると、契約当初は高いですが、長く継続する場合は、払込期間までの総払込保険料は、「全期型」のほうが安くなることが多いです。
何事もなく保険期間が終わってしまったら、支払った保険料は1円も戻ってこないため、一般的には「掛け捨ての保険」と言われますが、保険期間を最長にして支払期間を最短にすることによって、特定疾病保障終身保険のように「貯蓄性のある保険」にすることもできます。
これをイメージ図に表すと、以下のようになります。
特定疾病保障保険のメリットとデメリット
メリットとしては、支払事由に該当したとき、入院日数に関係なく、まとまった一時金が受け取れる点です。なぜなら、少子高齢化により医療財政が厳しくなっていることなどを理由に、入院日数が短期化される傾向だからです。また、通院だけでがんを治療するケースも増えています。
日本人の約6割は、がん、急性心筋梗塞、脳卒中のいずれかで亡くなる現状を考慮すると、いずれかを発症すると一時金が受け取れるというのは、取りっぱぐれの少ない保険の一つといえるでしょう。
デメリットとしては、3点あります。
1つ目は、「先進医療特約」が付加できない点です。がん治療は、陽子線治療など先進医療を受けることも想定されます。「先進医療特約」は医療保険やがん保険には付加できる保険会社は多いですが、特定疾病保障保険には付加することができません。
2つ目は、再発時の保障がない点です。がん保険の場合、再発時についても保障するタイプもありますが、特定疾病保障保険は、生前に一時金を受け取ると保険が終了するため、再発時の保障はありません。
3つ目は、がん保険で充実している無料の付帯サービスがない点です。
以上の3点は、医療保障の他の保険で補完できる内容になります。保険加入の際は、一時金である「特定疾病保障保険」と入院保障である「医療保険」や「がん保険」との比較検討も重要なポイントです。
あなたにとって適正な額の特定疾病保障保険を選ぶためには、あなたの経済的リスクだけでなく、あなたの病気のリスクとも向き合うと無駄のない・すっきりとした保険加入をすることができます。
がん、急性心筋梗塞、脳卒中に対する保障は、特定疾病保障保険に限らず、以下の保険で準備できます。
特定疾病保障保険に加入するか迷っているあなたは、がん・脳卒中・急性心筋梗塞と診断されたときに、自分の貯蓄が取り崩されてしまうのが困るかどうかを判断基準にしてください。
経済的負担が理由で、希望する治療が受けられないという事態を避けるために、自己負担額の一部を特定疾病保障保険で備えるという考え方をベースにすると、適切な金額での加入につながります。