「死亡保障はいくら必要?」を考える上では、残された家族が今後生活していくために必要な金額を知ることが大切です。この金額を『必要保障額』といいます。
死亡保障とは、亡くなった時の経済的リスクを補う保障です。
主なニーズとしては、
- 万が一の場合、残された家族が困らないように生活費を確保したい
- 万が一の場合、子どもが独立するまで困らない教育費を確保したい
- 最低限のお葬式代を保険金で用意したい
があります。
経済的リスクは家族構成・現在の収入・資産状況などによって、一人ひとり異なりますが、今回は、経済的リスクが比較的大きいケースとして想定される、子どもがいる家庭で大黒柱が亡くなった場合の死亡保障について解説していきます。
具体的には、生活費や教育費などの支出見込額から、遺族年金や自己資産などの収入見込額を差し引いて算出します。もちろん将来に対する予測ですから、完璧な金額を出すことはできませんが、およその目安は算出できます。
必要保障額を算出する5つのステップ
5つのステップに沿って必要保障額を算出します。必要保障額を算出するとき、一番下の子どもを定義する「末子(まっし)」という言葉が、頻繁に登場しますので覚えておいてください。
STEP1:末子独立までの生活費の計算…A
現在の生活水準をもとに、残された家族が年間どのくらいの生活費を必要とするかを見積もります。末子が独立するまでの期間は、現在の生活費の70%を目安とします。大黒柱が亡くなった時、食費や衣服代、光熱費などの消費支出を合わせて、30%ほど支出が減ると考えて下さい。
- 現在の年間の生活費×70%×(末子の独立時年齢※-末子の現在年齢)
※末子の独立年齢は18歳、20歳、22歳と各家庭の教育方針によって異なりますが、大学卒業時の22歳が多いです。
STEP2:末子独立後の配偶者の生活費の計算…B
末子独立後、配偶者が1人で平均余命まで生活する期間は、現在の生活費の50%を目安とします。
- 現在の年間の生活費×50%×末子の独立時の配偶者の平均余命※
※平均余命とは、各年齢の個人が平均的にあとどれくらい生きられるかを表す数値です。特に0歳の人の平均余命を平均寿命といいます。 平成25(2013)年簡易生命表によると、配偶者の平均寿命は、女性の場合は86.61歳、男性の場合は80.21歳です。
STEP3:別途必要資金の計算…C
子どもの教育費や結婚資金(親の援助額)、住居費、葬儀費用、相続費用、予備費など生活費以外で、別途まとまって必要になる資金を見積もります。
- 子どもの教育費(子どもの年齢・希望進学コースにより異なる)×子どもの人数
- 子どもへの結婚援助資金:援助予定金額(全国推計値179.3万円 /リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2014」)×子どもの人数
- 住居費:(持ち家・賃貸により異なる、持ち家の場合維持費も考慮する)
- 葬儀費用:約189万円(日本消費者協会 2014年)
- 相続費用
- 予備費
STEP4:収入見込額の計算…D+E+F+G
遺族年金などの公的保障、死亡退職金などの企業保障、預貯金などの自己資産、配偶者の収入を見積もります。
- 遺族年金などの公的保障 ・・・D
- 企業保障(会社員の場合、死亡退職金・弔慰金など) ・・・E
- 自己資産(預貯金、有価証券、売却可能資産など) ・・・F
- 配偶者の収入 ・・・G
STEP1からSTPE4までの各数値から必要保障額を算出します。表にまとめると、以下のようになります。穴埋めを活用してください。
このように、「死亡保障はいくら必要か?」を考える上では、『必要保障額』を算出することが重要です。 ただし、ライフプランの変更や経済状況の変化などによって必要保障額は増減しますので、定期的に保険の見直しをすることも忘れないでください。