保険加入の際に、多くの方の候補にあがるのが、「共済」です。民間保険と比較されることも多いですが、根拠法もなく、保険業法の規則にも服していないので、民間保険とは似て非なるものです。
このページでは、民間保険との違いを含めて、共済の全体像から個別の共済の保障内容の概要まで、解説していきます。
共済は、大きく分けると2つの制度がある
共済と一言でいっても、規制の対象外共済と制度共済の2つに分離されます。それぞれの特徴を確認してください。
制度の対象外共済:4大共済、少額短期保険業者以外の限られた組織で少額の見舞金を支払う制度
規制の対象外共済は、狭い範囲の地域の職域などで、掛け金を徴収し、万一の場合にそのメンバーに極めて少額の見舞金を支払うものです。根拠法もなく、保険業法の規則にも服していないので、民間の生命保険会社に比べて、契約者保護が手薄くなります。
平成18(2006)年4月の保険業法改正により、監督官庁の認可を受けていない既存の無認可共済は、保険業法のもとで金融庁の監督下におくことになりました。無認可共済は監督官庁がないために様々な問題が生じたので、契約者保護の観点から、保険業法の網をかけるようにするというのが理由です。
そのとき、資本金10億円以上を用意して「保険会社」になるか、資本金1000万円と一定の供託金を用意して「少額短期保険業者」になるか、いずれかの選択を迫られました。その結果、自治体共済、企業内共済、グループ内共済、学内共済、PTA共済、町内会共済など、規制の対象外共済を除いて、無認可共済は一掃されています。
制度共済:JA共済など4大共済がその代表
保険契約者保護機構には加入していませんが、根拠法を有し、監督官庁の監視の下に置かれている共済のことです。JA共済、全労済、都道府県民共済、CO・OP共済、などがその代表です。
各共済によって、取り扱う保険種類や保障内容は異なりますが、保障内容があらかじめ決まっている「パッケージ型」で、ある一定期間だけ保障する定期タイプが多いです。
また、掛け金も男女・年齢問わず一律の商品もあります。組合員になるために出資金が必要など、利用のコツはありますが、通信販売などで気軽に申し込むことができます。
以下に、4大共済の特徴をまとめてみました。一言で共済といっても、加入要件をはじめとして、同じものはないということを確認してください。
民間の生命保険会社並みのラインアップはJA共済、掛け金が男女・年齢問わず一律の「パッケージ型」が人気なのは全労済、都道府県民共済、CO・OP共済、と各共済によって特徴は異なることがわかります。
共済と民間の生命保険の違い
規制の対象外共済と制度共済の特徴をそれぞれつかんだところで、最後に共済と民間の生命保険の違いを確認しましょう。主にどういう点が違うのか、以下のように一覧表にしてみました。
共済は、民間保険と比較すると、掛け金が安いものが多く、割戻金があるため、お得感はあるのが特徴です。しかし、「パッケージ型」の商品は、60歳まで保障を手厚いですが、それ以降の年代の保障を減り、長くても保障は85歳で終わる仕組みです。
平均寿命を考慮すると、共済だけですべての保障がカバーすることは難しいことがわかります。なぜなら、ある一定期間だけ保障する定期タイプが多いからです。
このように、民間の生命保険をベースに、補足する形で加入するのが共済の賢い使い方です。