子どもが生まれたときは、保険見直しが必要になるライフプランの変化の1つです。 子どもが生まれると、必要保障額は一気に上昇しますので、しっかりとした死亡保障が必要となりますが、死亡保障の適切な金額は、家族構成、共働きか専業主婦(主夫)なのか、子どもの進路、現在の収入・資産状況などによって異なります。
このページでは、子どもが生まれたときの保険見直しのポイントについて解説していきます。
貯蓄がどのくらいあるか確認する
まずは貯蓄がどのくらいあるか確認するところからはじめましょう。家族の経済的担い手である大黒柱が亡くなったとき、貯蓄で不足する金額を保険でまかなうことができます。
夫の保険見直しポイント:家族が必要な生活費を算出する4ステップ
一番多額の死亡保障が必要なのは、専業主婦(主夫)で子どもが幼く、持ち家でない、かつ、万一のことがあっても実家に帰らないケースです。住居費を含めた配偶者および子どもが独立するまでの生活費と教育費について、貯蓄で不足する金額を保障額に見込まなければならないからです。
このような場合、生命保険の最も活用するケースとなり、優先順位は残された家族の生活費と子どもの教育費の確保です。 必要保障額については、『「死亡保障はいくら必要?」を考えると死亡保険の加入がうまくいく』にておよその目安は算出できます。
必要保障額の中で算出する「生活費」は、最低限一番下の子ども(以下、末子)が独立するまでの期間、もしくは、大黒柱が働く予定である年齢まで用意する必要があります。
今回は、末子が独立するまでの生活費は1ヵ月いくら必要なのかにスポットをあてて試算してみます。
子どもが生まれたら、3,000万円~5,000万円という高額な生命保険の加入を考えがちですが、生活費は本来、毎月の給与から捻出していますので、1ヵ月単位の金額を基準にして考えるのです。
さっそく、4つのステップで残された家族が必要な生活費を算出してみましょう。
STEP1:1ヵ月に必要な生活費の計算
現在の生活水準をもとに、残された家族が1ヵ月どのくらいの生活費を必要とするかを見積もります。残された配偶者の状況や考え方によりますが、まずは、「現在の住まいが持ち家か?賃貸か?」、「万一の場合、実家に帰るか?帰らないか?」を確認することがポイントです。
どちらも後者の場合は、家賃分を含んだ生活費になり、ひとつでも前者である場合は、家賃分を差し引いた生活費となります。
STEP2:収入見込額の計算
遺族年金などの公的保障、残された配偶者の収入を見積もります。遺族年金は、以下の表を参考にしてください。
STEP3:生命保険で用意する金額
STEP1と2の結果から不足する額が算出でき、不足額が生命保険の保険金額となります。
STEP4:生命保険はいつまで必要か?
必要な保険期間は、最低限一番下の子ども(以下、末子)が独立するまでの期間が目安となります。末子の独立年齢は18歳、20歳、22歳、と各家庭の教育方針によって異なりますが、大学卒業時の22歳が多いです。
表にまとめると、以下のようになります。穴埋めを活用してください。
夫の保険見直しで、お勧めする保険種類
不足する生活費を用意する場合の生命保険は、限られた期間の保障を手厚くできる「定期保険」が適しています。ただし、一定期間、一定の金額必要というわけではなく、子どもの成長とともに、必要保障額は減少します。
そのため、「定期保険」で大黒柱が亡くなった時に、保険金を一括してもらうのではなく、定期保険の1つで、毎月一定額の保険金を分割してもらう「収入保障保険」が最適です。
「収入保障保険」は、広告宣伝をほとんどしていないので、意外と知られていない保険種類です。以下のように、「定期保険」と「収入保障保険」の違いをイメージを使って説明します。
この場合、子どもが独立した後の死亡保障は用意できていません。配偶者のために、お葬式代くらいは保険で用意しておきたいとか、相続対策など、生命保険にしかないメリットを活用したいという場合には、何歳で亡くなっても死亡時に死亡保険金が支払われる「終身保険」に同時に加入しておくべきです。
教育費の確保としては、「学資保険」が代表的な保険種類です。「学資保険」とは、子どもの進学時に合わせて祝金や満期保険金が受け取れる教育費の準備を目的とした保険で、原則「保険料払込免除特約」が付加されています。保険料払込免除特約とは、契約者である親が死亡または高度障害状態になった場合には、その後の保険料の支払いが免除され、満期保険金は予定通り受け取ることができるものです。つまり、親の生死に関係なく、子どもの教育費を確保することができるということになります。当然この機能は預貯金にはありませんので、最大の特徴ともいえます。
しかし、超低金利時代においては、ほとんど貯蓄性は期待できません。そこで、学資保険の代替方法として、解約返戻金やドル建てを活用する「終身保険」や「変額保険(有期型)」があります。なぜなら、インフレリスクにも対応できるからです。
夫の医療保障は、「医療保険」と「がん保険」です。
「医療保険」のコストパフォーマンスを上げるには、基本的な保障内容の1つである「入院給付金」の保障日額を最低限に抑えたうえで、「先進医療特約」を付加することです。つまり、「先進医療特約」の給付狙いをメインテーマにすることです。
医療保険と並行して、「がん保険」も検討してください。なぜなら、一生のうちがんと診断されるのは、男性は約2人に1人の確率といわれるくらい、身近な病気だからです。また、「医療保険」でもがんへの保障はありますが、入退院を繰り返したり、入院が長期化すると保障対象にならない場合もあるからです。
また、日本を代表する優秀な病院や医師を無料で紹介してくれるサービス狙いでの保険加入もコストパフォーマンスを上げる方法になります。
妻の保険見直しでお勧めする保険種類
加入目的によって、選択する保険種類が異なりますので、代表的なものを確認していきます。妻の保険見直しで、お勧めする保険種類は、主に「医療保険」「がん保険」の2つです。
妻の医療保障に関しても夫の医療保障と同じ考え方ですが、「女性向けの医療保険」に加入することによって、妊娠・出産に関する入院・手術の保障が上乗せされます。女性特有の病気に限定しているため、通常の医療保険の入院日額を増額するより、保険料を抑えられるというメリットがあります。
また、今後も妊娠・出産の可能性がある20代~40代は、医療費の経済的リスクを補う「医療保険」に早めに加入しておく必要があります。正常分娩は保障の対象外ですが、妊娠・出産にまつわる症状(早流産、子宮外妊娠、帝王切開、妊娠中毒症等)は保障の対象です。
なぜなら、妊娠が判明した後で医療保険に加入しようとした場合、一般的な保険会社は27週目までは加入が可能ですが、加入後1年は保障しない条件付き加入となり、今回の妊娠には保障が適用されないケースがほとんどだからです。
妊娠・出産の可能性がある20代~40代は保障内容を手厚くし、出産年齢が過ぎたら保障内容を削減する、という考え方をベースにすると、「女性向け医療保険」の合理的な加入になります。
医療保険と並行して、「がん保険」も検討してください。なぜなら、一生のうちがんと診断されるのは、女性は約2人に1人の確率といわれるくらい、身近な病気だからです。また、「医療保険」でもがんへの保障はありますが、入退院を繰り返したり、入院が長期化すると保障対象にならない場合もあるからです。
また、日本を代表する優秀な病院や医師を無料で紹介してくれるサービス狙いでの保険加入もコストパフォーマンスを上げる方法になります。
ただし、残された家族の生活費と子どもの教育費の確保を優先するあまり、妻の死亡保障がゼロになってしまうケースにおいては、掛け捨ての保険である「がん保険」の代替案として、三大疾病であるがん・急性心筋梗塞・脳卒中により所定の状態になったとき、生前に一時金が受け取れる「特定疾病終身保険」を検討してください。
1カ月あたりの保険料は高めになるものの、約3人に2人が三大疾病で亡くなる時代で、三大疾病にならなければ、通常の「終身保険」として活用できるということ、解約しても支払保険料の8~9割が戻ってくるという保険は、死亡保障とお金がかかる医療保障を補うには合理的な保険加入といえます。
家計に比較的余裕がある場合に、お勧めする保険種類
家計に比較的余裕があるけれども、貯蓄が苦手なあなたにお勧めする保険種類は、「終身保険」や「個人年金保険」のような、資産形成の機能を持つ保険です。
特に、共働きの場合、それぞれの所得から税金(所得税)を収めることになります。税金額を計算するとき、税率を掛けて算出するのですが、得た所得の全部(総所得額)にいきなり税率を掛けで税金額を決めるわけではありません。総所得から、いろいろなものを差し引いてくれます。
この差し引く分を「控除」といい、所得控除と税額控除に分けられます。所得控除は、所得から差し引く控除のことで、控除が多い分、課税される所得が減り、税金額も安くなります。
その中の1つに生命保険料控除があります。
生命保険料控除には「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の3種類があり、所得税だけでなく住民税も軽減されます。それぞれ年間の保険料が8万円を超えると控除率が一律になるため、月々7千円前後の保険料に抑え、控除狙いでの加入を検討してください。
「終身保険」や「個人年金保険」のような貯蓄性のある保険は、中途解約すると不利になるのが一般的で、必要なときにすぐに換金できません。ですが、月々の保険料というかたちで、毎月口座から自動的に引き落とされ、途中で現金化したくなった場合でも「今、解約したら損」という縛りをつけることが継続の原動力になります。つまり、強制貯蓄の有効策にもなりうるのです。
このように、子どもが生まれたときの経済的リスクは、死亡保障と教育費の確保です。この時期は何かとお金がかかりますから、ムダ・ムラ・ムリのない保障を確保できるよう、優先順位をつけてバランスよくまかなうことが理想です。また、貯蓄が苦手な方は、老後保障に資産形成の機能をもつ保険を活用していくことをお勧めします。