死亡保障から医療保障へのニーズの変化もあり、各保険会社は「貯蓄型の保険」から「掛け捨て型の保険」へシフトしていきました。
このページでは、平成14年から現在までの、主力商品の変遷について、解説していきます。
平成14年に登場した「終身医療保険」が、爆発的にヒットする
掛け捨て型の代表的な保険商品は「医療保険」ですが、医療保険のリーディングカンパニーであるアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)は、終身医療保険である『EVER』シリーズを、平成14(2002)年から約10年で累計販売700万件を突破しました。
追随する保険会社は、より安い保険料で保障内容を充実させる新商品の発売や、商品改定のサイクルの短縮化が進みました。平成24(2012)年以降に発売された医療保険の保険料は、史上最低水準にきていると言えるでしょう。
「主な医療保険の変遷」について、一覧表にまとめてみました。
主な保障のニーズの変化と同時に、保険会社や保険加入方法のバリエーションもさらに増えました。
かんぽ生命やネット生保の登場
平成19(2007)年には郵政民営化によるかんぽ生命が発足しました。主力商品を新商品にリニューアルするとともに、アフラック(アメリカンファミリー生命保険)と業務提携して、がん保険を販売するなど、他の生保会社の代理店にもなりました。 平成20年(2008)年に相次いでインターネット販売専業会社であるネット生保が設立されました。
従来、インターネットで資料請求は可能であっても、保険の申し込み手続きや健康状態の告知を行い、契約手続きが完結することはできませんでした。
かつて、平成15(2003)年10月、メットライフアリコ(現:メットライフ生命)が日本初のインターネットによる医療保険申込完結サービスを開始しましたが、告知義務違反など諸問題が生じ、取扱いを停止していたからです。
ネット生保は、平成20(2008)年4月にSBIアクサ生命(現:アクサダイレクト生命)、同年5月にライフネット生命が設立され、2社となっています。
創業当時は、ネットのみで販売していく予定でしたが、アクサダイレクト生命は平成20(2008)年6月から、ライフネット生命は平成24年(2012)10月から代理店チャネルでの販売を開始しています。
平成23(2011)年5月よりオリックス生命がネット専用商品を開発して、対面販売を主軸としていた保険会社も参入してきました。ネット専用商品と対面販売の商品と同じ保険料の保険会社もあれば、ネット専用商品を割安にしている保険会社もありますので、注意が必要です。
ネット専用商品は、「貯蓄型の保険」は少ないもしくは取扱いがなく、主に死亡保障と医療保障の「掛け捨て型の保険」に特化しているケースがほとんどです。また、告知がある場合、申し込みできなかったり、申し込むことができたとしても対面販売よりも引受基準が厳しくなるケースが多いです。
保険会社にとってうまみが大きいのは掛け捨ての商品で、CMで医療保険やがん保険が多く流れているのはそのためです。保険料の割安さや対面営業の煩わしさを避けるためといった動機にとらわれず、それぞれの特徴を理解して、上手に選択しましょう。
「ネット生保の変遷」について、以下の表にまとめてみました。
銀行が金貸しから、保険屋さんに
保険加入方法については、平成19(2007)年、銀行窓販が全面解禁となりました。
新たに死亡保険、医療保険、がん保険、などが解禁され、複数保険会社から選択して加入することが可能となりました。ただし、銀行と同系列の保険会社の商品を主に取り扱っているケースが多く、商品ラインアップに偏りがある点には注意しましょう。
平成25(2013)年4月、欧州の財政・金融危機による市場の混乱で運用環境はさらに悪化し、標準利率の引き下げに伴い、予定利率を1.5%から1.0%へと12年ぶりに引き下げたり、貯蓄性ある保険については、販売を中止する保険会社もありました。
ネットの普及や保険ショップの台頭もあり、比較情報が飽和状態となっています。 保険会社や保険加入方法のバリエーションは増えましたが、複数の保険会社の商品を取り扱う「乗合代理店」の募集人が、販売手数料の大きい商品を販売する傾向が一部の代理店で行われていることが明るみにでました。
これまで説明した内容を年表にまとめると、以下のようになります。
金融庁は、平成27(2016)年にも保険販売の際の基本的ルールを創設し、適正な保険販売が行われるよう法整備を進めています。
以上から、「保険商品選び」より、「保険相談者選び」が重要となる時代となりました。